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『心音の森の妖精物語』番外編1 〜もみの木〜(2013.12.28.放送)

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※2. 放送時間の都合によりシナリオの一部を省略しています。
《作》佐々木裕子
《絵・語り》佐々木心音
《音 楽》CO906.
《声の出演》
ふーちゃん:佐々木心音
もみ爺や、きっきちゃん:佐々木裕子

『心音の森の妖精物語』番外編1 〜もみの木〜(オリジナル・シナリオ)

〜これは「こころの森」で、あるクリスマスの時に起きていた番外編の物語です〜

ふーちゃんは眠れない日々が続いています。
なぜなら、クリスマスの劇で、ふーちゃんは主役に選ばれたからです。
人の心がわかる妖精の役、ココネ!
優しいココネ役になれて、大喜びしてたのに…。
練習の時にセリフを言おうとすると、体がかたまって、何にも話せなくなるのです。

それは、この前、お友達のきっきちゃんが
「ふーちゃんって、声がキンキンしてるから、ココネみたいじゃないのよね」って言ってるのを聞いてからでした。
「そっか、私の声はココネみたいじゃないんだ…」
ふーちゃんは、すっかり自信を無くしていました。

どうしたらいいかわからないとき、ふーちゃんは必ず、森の奥の『もみ爺や』と呼んでる大きなもみの木のところへ行きます。

ふーちゃんがもみ爺やの下で泣いていると、どこからともなく声が…。
「え?今、誰か何か言った?」
ふーちゃんが驚いてあたりを見回すと、もみ爺やは微笑むように
「ふーちゃんはクリスマスプレゼントには何が欲しいんだい?」と聞きました。
「あのね、何にもいらないから、ココネのセリフがちゃんと言えるようになりたいの」
ふーちゃんがそう答えると、もみ爺やは大きな枝を手のように伸ばして、ふーちゃんを優しく抱きしめました。
「大好きだよ!!ふーちゃんの声、大好きだよ。そのまんまのふーちゃんがだ〜い好きだ」
キラキラ光る粉が降ってきて、固くなった心を溶かしてくれるようでした。

大好きって、すごい魔法の言葉!
ふーちゃんは、その夜、何日かぶりにぐっすり眠れたのです。
夢の中で、ふーちゃんは上手に台詞を話せていました。

次の日、きっきちゃんが泣いていました。
「私の天使のお洋服にお弁当をこぼしちゃったの。白いキレイなお洋服じゃないと、汚れてるのなんか天使じゃないよね。もう、私は天使の役はできないよね」

ふーちゃんは、気付くと昨日のもみ爺やのように、きっきちゃんを抱きしめて言っていました。
「きっきちゃん、大好き!天使さんのきっきちゃんが大好き!!お洋服なんか汚れても、大好き!!私もがんばるから、一緒にがんばろう!」
きっきちゃんは嬉しそうに微笑んで、コクンと頷きました。

さて、いよいよ本番!
ついさっきまで汚れた服が気になって泣いていたきっきちゃん。でも、ふーちゃんがくれた「大好き」という名前のドレスを着ていたので全然、平気!!見事に天使になりました。
ふーちゃんのセリフも、みんなの心に届いたのです。
「わ〜〜い!!やったぁ」と思ったそのとき、お空からキラキラ光る何かが…。

「あ!きっと、もみ爺やだ!!
もみ爺や、ありがとう!」ふーちゃんは呟きながら、ふと思ったのでした。
もしかしたら、きっきちゃんのことも全部、もみ爺やのクリスマスプレゼントかもしれないなって。

作:佐々木裕子


FM-FUJI『心音の森の妖精物語』 by 富士見高原リゾート

FM FUJI (Tokyo:78.6MHz Kofu:83.0MHz) にて毎週土曜 9:00AMより放送中!

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