Main Image

『心音の森の妖精物語』第12話 〜信じぬくココロ〜(201.03.15.放送)

※1. 上のスタート・ボタンプレイボタンをクリックすると、絵本パートのみお聴きいただけます。
  今週の放送すべてをお聴きいただく場合は、下のYouTubeよりどうぞ♪
※2. 放送時間の都合によりシナリオの一部を省略しています。
《作・絵》佐々木心音
《語 り》佐々木裕子
《音 楽》CO906.
《声の出演》
ココネ、ノン太:佐々木心音

『心音の森の妖精物語』第12話 〜信じぬくココロ〜(オリジナル・シナリオ)

心を奪われる出来事があってから、何日も経ちました。
そして今、“心の森”には、春がやって来ていました。
暖かい風が、雪を溶かし、金色の菜の花が顔を出しています。
森の妖精“ココネ”は、華やかな春が大好きでした。
沢山の命が顔を出す瞬間は、それはそれは感動するのです。
『わーあ!なんて綺麗なのかしら。』
そう言っては、沢山の木や花たちに話しかけていました。

するとそこに、幼いイノシシの“ノン太”がやってきました。
のんびり屋のノン太は、冬眠からようやくこの森に帰ってきたようです。
「ココネー!元気だったかー?」
ココネは、ノン太が全く変わっていないことに嬉しくなりました。
『ノン太〜!居ない間、色々あったけど…元気よ!』
ココネはノン太の頭を優しくなでて、言いました。
「ふふふっ。何だかココネったら、もみ爺やみたいだー!」
そう言われたココネは、自分が前よりもっと優しくなれていることに気付きました。
そういえば、ノン太はいつも、もみの木のもみ爺やに頭をなでてもらっていました。
そして、その時が大好きだと言っていました。
「そうだ!もみ爺やに会いにいこうっと〜♪」
ノン太のその言葉に、ココネは困りました。
ノン太は、もみ爺やが枯れてしまった事を知らないのです。
『あのね、ノン太。これからは私が、もみ爺やになるわ。』
ノン太は驚きました。いったいココネが何を言いたいのかが、わかっていないようです。
『もみ爺やはね、もうお爺さんだから、体を休めるために土に帰る事にしたのよ。帰って来たら一緒に遊ぼう、って。』
するとノン太は、ほっぺたをぷーっと膨らましてしまいました。
「なんだよ、僕に言わないで勝手に休むなんてー。」
真っすぐな性格のノン太は、ココネを信じてくれました。
『ごめんね、ノン太。でも嘘じゃないわ。きっと帰ってくる。』
ココネも、そう信じていました。
「じゃあさ、ぼく、早く帰って来てって言ってくるよ。」
ノン太はそう言うと、いきなり走り始めました。ココネも、急いで後を付いていきます。

先に着いたノン太は、立ち尽くしていました。
ココネは、その後ろ姿を見て、ノン太に何と言ったらいいのか考えました。
すると、
「ココネー!もみ爺、もう帰ってきてるよ!」
ノン太は笑顔で振り向きました。
『え…どういうことなの?』
ココネがノン太の元に行ってみると…そこには、小さな命が顔を出していました。
もみ爺やと同じ、もみの木の赤ちゃんです。ココネは、思わず涙を流しました。
『本当だ…もみ爺や、帰ってきたね。』
それは、もみ爺やの生まれ変わりでした。葉っぱの形までそっくりなのです。
長い間一緒にいたココネには、それがわかりました。
『もみ爺や、お帰りなさい。』
ココネは、涙でぐしゃぐしゃになった顔で、必死に笑いました。

気が付くと、周りはとても賑やかでした。
噂を聞いた森の皆が、集まっていたのです。そこには、鹿のシータ、熊のマーサも居ました。
森中が笑顔で包まれ、まるでもみ爺やが“心の森”を抱きしめているかのように、優しく暖かでした。
『ねぇ、もみ爺や。もうこの森に、魔法はいらないかもしれないわ。』
そうして、ココネは歌を歌いました。
それは、魔法の歌ではありません。皆で歌える、心のこもった歌でした。

作:佐々木心音


FM-FUJI『心音の森の妖精物語』 by 富士見高原リゾート

FM FUJI (Tokyo:78.6MHz Kofu:83.0MHz) にて毎週土曜 9:00AMより放送中!

番組へのリクエスト、メッセージは、こちらからどうぞ♪
『心音の花の里ごころ』ラジオ番組バックナンバーは、こちら♪
『富士見高原スキー場』ウェブサイトは、こちら♪