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『心音の森の妖精物語』第7話 〜信じるココロ〜(201.02.01.放送)

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※2. 放送時間の都合によりシナリオの一部を省略しています。
《作・絵》佐々木心音
《語 り》佐々木裕子
《音 楽》CO906.
《声の出演》
ココネ:佐々木心音
もみ爺や:佐々木裕子

『心音の森の妖精物語』第7話 〜信じるココロ〜(オリジナル・シナリオ)

その日の森は、薄暗い雲に覆われていました。
まだお昼なのに、少しの日の光すらありません。
沼から現れた黒いかたまり、“ヌボーン”によって、猿やリスたちの心は奪われ、森を荒らし続けていました。
森の妖精“ココネ”は、「心の声を聞く力」を持っています。
でも、心を持たない彼らにとって、その力は意味をもたないと気付きました。
『私に何が出来るんだろう…』そう思ったココネは、もみの木の“もみ爺や”に話を聞いてみる事にしました。
『この森で、一番長く生きているんだもの。きっと、何か知っているはずだわ』

ココネがもみ爺やの元へ行くと、
もみ爺やはすでに何かを理解したような顔をして、大きく頷きました。
「いつか、この日がくると思っておった。」
もみ爺やは静かに言いました。
「いいかい、ココネ。お前さんの母親のママネは、昔“ヌボーン”と戦っておる。」
『え!?それなら、どうしたらこの森を助けられるか、知っているのね!?』
ココネがそう言うと、もみ爺やは、枝を大きく横に揺らしながら答えました。
「わからないんじゃ。ママネは、自分の羽根と引き換えにこの森を救った。自分のチカラをあげるから、もうやめてくれ、となぁ。」
『え…羽を無くしたのは、事故じゃなかったの!?』
ココネは驚きました。
妖精たちは、羽根から出る粉のチカラで魔法を使っています。なので、羽根を手放すということは、もう二度と魔法を使えなくなるということなのです。
『そんな…だからお母さんは、外の世界に出れないのね…。なら…私も羽根を手放せば皆を守れるの?』ココネがそう言うと、
「だめじゃ、ココネ!」もみ爺やは大きな声で言いました。
ココネは、見た事のないくらい恐い顔をしたもみ爺やに、驚きました。
「そのやり方は、ヌボーンを倒した事にはならん。その時は助かっても、いつかまたこの森に現れる。しかも、羽のチカラを手に入れて、前より強くなっておるぞ。」
もみ爺やは、知っていました。ママネは、自分が守りきれなかったこの森の平和と未来を、自分の娘であるココネに托したことを。
「なぁ、ココネ。魔法がない辛さがわかるかい?仲間と二度と会えない辛さがわかるかい?お前には、ママネと同じ思いをしてもらいたくないんじゃ。」
もみ爺やは、またいつもの優しい声に戻ってそう言いました。
『もみ爺や…わかった!私、お母さんのためにも、この森を守るわ!』
ココネはそう言って、もみ爺やをきつく抱きしめました。
「ありがとう。お前なら出来ると、ワシは信じておる。絶対に大丈夫じゃ。」
もみ爺やのその言葉に、ココネは勇気をもらいました。
何故でしょう。信じていると言われると、不思議と、自分は何でも出来るような気がしてくるのです。
ココネは、さっきまでの不安な顔とは違って、自信に満ちた顔で微笑みました。
そうして、
『ありがとう。もみ爺や、大好きよ。皆が心配だから、そろそろ行くわね。』
そう言うと、グレーの空へと飛び立ちました。
「お前も、ママネに似てきたのう…頼んだぞ、ココネ。」
もみ爺やはそう呟くと、この“こころの森”の無事を祈りました。
明るい星空が、見られますようにと…。

作:佐々木心音


FM-FUJI『心音の森の妖精物語』 by 富士見高原リゾート

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