『心音の森の妖精物語』番外編３ 〜ゆりの精〜（2014.02.22.放送）
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| 《作》佐々木裕子 《絵・語り》佐々木心音 《音 楽》CO906. |
《声の出演》 ココネ、ゆうりん：佐々木心音 みーちゃん、ママ：佐々木裕子 |
『心音の森の妖精物語』番外編３ 〜ゆりの精〜（オリジナル・シナリオ）
〜これは、「こころの森」で、ある時小さな女の子のみーちゃんが出会った番外編の物語です〜
みーちゃんは、トボトボとお家に帰るところでした。
今日は、また例の大嫌いな計算テストがかえってくる日。
名付けて “鬼の100門トレーニングテスト”
みーちゃんは、急ぐことが苦手で、いつも最後までたどりつきません。
この前、がんばって80問まで解けたのに、ママは…
「80点で喜んでちゃダメよ。最後まで行くように頑張らなくちゃ！！」
今回はがんばって90問まで行ったはずなのに…かえってきたテストは0点。
なんと、焦り過ぎて答えをひとつずつズラして書いてしまったのです。
『またママにドジって言われるなぁ。帰りたくないなぁ…』
みーちゃんは、気付くと森の方へ歩いていました。
こころの森では、ココネとゆうりんがお話しているところでした。
「あ！この前、助けてくれた女の子だわ」
みーちゃんの姿を見つけたゆうりんが言いました。
「何かお礼が出来ないかしら？」
「私に任せて！」
ココネが魔法の歌を歌うと、あら不思議！
魔法のユリノネの出来上がりです。
『あら？ひとつだけまだ、ゆりの花が咲いてる…』
みーちゃんがゆりの花に近付くと…
「みーちゃん、こんにちは！ 私はゆうりん。この前は助けてくれて、ありがとう！」
そういえば、男の子がふざけて、ゆりの花を踏んづけようとした時、みーちゃんが止めたのでした。
『あなたは、あの時のゆりさん？』
「そうです。お礼に幸せのユリノネを差し上げましょう。これを食べたら、心の中が幸せでいっぱい！どんなことも幸せに思えてくるのです」
キレイな銀紙を開けてみると、中にはホクホクのユリノネがひとつ。
すぐに食べようとすると、ゆうりんは慌てて言いました。
「あ、まだダメよ。帰って…ちゃんと手を洗ってから食べてね」
みーちゃんがお家に着いて、手を洗っていそいそと戻ってくると、テーブルの上に置いたはずのユリノネが見当たりません。
『ママ、ここにあったユリノネ知らない？』
「ああ、あれね。給食の残り？みーちゃんはユリノネが嫌いだろうから、ママが食べたわよ」
『え？あれ、食べちゃったの？幸せのユリノネなのに…』
そう思ったとき、ママが聞きました。
「そういえば、計算テストはどうだったの？」
『あ〜、そうだった。忘れてたぁ』
みーちゃんはテストを見せて、正直に話しました。
ママが怒るだろうと、おっかなびっくりしながら…
「まぁ、0点？それは、ステキ！！なかなか0点なんて取れるもんじゃないわ。いい経験じゃない。それに、誰か必ずビリっけつがいるものでしょ？今回はみーちゃんがビリになったから、みんなを助けてあげたわね」
『え？何が起きたの？』
そんな時、パパから、まだ帰れないから夕飯はいらないという電話が…。
そうすると、ママはいつもカンカンなのに……今日のママは変です。
「お仕事ご苦労様。がんばってね」
『え？え？どうしちゃったの？ユリノネの魔法？』
夜ご飯のとき、みーちゃんはまたスープをこぼしてしまいました。
『きゃあ、またやっちゃった…』
でも、ママは、
「あらあら、大丈夫？みーちゃんが火傷してないなら、よかったわ」
『え？え？え？やっぱり……あのユリノネの魔法なんだ！』
みーちゃんは、とっても幸せな気持ちになりました。
次の計算テストの時、みーちゃんは焦らないで問題が解けました。
そのおかげで、とうとう最後までたどりつけたのです。
『ゆうりん、ありがとう！幸せをありがとう！』
みーちゃんは、その時ふと思ったのです。
もしかしたら、ゆうりんは始めから、ママに「幸せのユリノネ」を食べさせたかったのかも…。
ゆうりんのステキな、ステキな仕掛けだったのかもって。
みーちゃんの心の声を聞いたココネの歌声が、優しく森中に響き渡っていました。
作：佐々木裕子
FM-FUJI『心音の森の妖精物語』 by 富士見高原リゾート
FM FUJI (Tokyo:78.6MHz Kofu:83.0MHz) にて毎週土曜 9:00AMより放送中！
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