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『心音の森の妖精物語』第5話 〜寄り添うココロ〜(2014.01.11.放送)

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※2. 放送時間の都合によりシナリオの一部を省略しています。
《作・絵》佐々木心音
《語 り》佐々木裕子
《音 楽》CO906.
《声の出演》
ココネ:佐々木心音
もみ爺や:佐々木裕子

『心音の森の妖精物語』第5話 〜寄り添うココロ〜(オリジナル・シナリオ)

この森には、何百年もの間、ずっと同じ場所に立っているもみの木があります。
今では、森で一番のお爺さん。“もみ爺や”と呼ばれるようになりました。
何かあると皆そろって、もみ爺やに話を聞いてもらうのです。

ある朝、もみ爺やが目を覚ますと、森の妖精“ココネ”がうずくまっていました。
「おや、ココネ。どうしたんだね?」もみ爺やは優しく、そう言いました。
いつも森中を飛び回っているココネなのですが、今はお喋りをすることさえもできないようです。

ココネともみ爺やは、大の親友。いつも一緒に、森の平和を守ってます。
そして、もみ爺やは、妖精のココネが唯一本音を話す相手でもありました。

まだココネが、この“こころの森“の精になる前のこと。
妖精の国から、初めてひとりで外の世界をお散歩をしていたココネは、動けなくなってしまいました。
だんだんと太陽が沈み、暗く静かになっていきます。

『どうしよう…力が出ないよ…。』ココネは呟きました。
「おや、どうしたのかね?」そう話かけたのが、もみ爺やでした。

そう、ココネがその時迷い込んだ森が、この“こころの森”だったのです。

『あなたは、だぁれ?』ココネは聞きました。
「わしは、もみの木のもみ爺やじゃ。お前さん、見ない顔じゃなぁ。外の世界は初めてかい?」
もみ爺やは優しく言いました。
『ええ、そうよ。始めまして、私、妖精のココネ。あのね、魔法を使いすぎちゃって、妖精の国へ帰るチカラがなくなっちゃったの。』と、ココネは言いました。

妖精の姿を長年見てきたもみ爺やは、「そうかい、そうかい。それじゃあ少し休んでいくといいじゃろう。」
笑顔でそう言うと、葉っぱでゆりかごを作りました。
『わぁ〜!すごい!ありがとう!』ココネは、そのゆりかごで横になり、もみ爺やとお喋りをしました。

「昔、この森にも妖精が住んでおったんじゃ。“ママネ”と言ってなぁ、いつもこのゆりかごで、アコーディオンを弾いておったのう。」もみ爺やがそういうと、ココネはいきなり身体を起こしました。

「なんじゃ、ココネ。知ってるのかい?」もみ爺やがそう尋ねると、
『知ってるも何も、私のお母さんよ!!すごい!お母さんからよく聞いてたのは、この森でのことだったのね!』ココネは興奮して言いました。嬉しくて、嬉しくて、たまりません。

それからココネは、お母さんから聞いた、“こころの森“での話しを沢山もみ爺やに話しました。
すっかり森が大好きになったココネは、この森で暮らすことを決めました。
妖精たちは5歳になると、自分がこれから守る場所を決め、妖精の国を離れなければいけないのです。ココネにも、その時期が来ていました。
『もみ爺や、これからよろしくね!』それからココネともみ爺やは、いつも一緒でした。

「懐かしいのう〜。」
もみ爺やは、そんなココネとの出会いを思い出し、優しい葉っぱのゆりかごを作り始めました。
そうして、うずくまっているココネをそっと抱き上げ、ゆりかごにのせてあげました。もみ爺やはゆっくりゆっくり、ゆりかごを揺らします。すると、不思議です。さっきまで苦しそうだったココネは、すやすやと眠りはじめました。

「あんな事が起こらなければ、ママネはまだこの森に居たかもしれんなあ・・・。」
もみ爺やはココネを見ながら、ポロっと呟きました。

雲が空を多い、突き刺さるような冷たい風が吹き始めています。
「あの時も、たしか似たような暗い空じゃったのう…」
もみ爺やは、そう言って、昔のことを思い出していました。

しばらくして、眠りから覚めたココネは、
『もみ爺や、ありがとう。なんだか、この森に初めて来た時を思い出しちゃったわ。』そう言って無邪気に笑いました。
まだ、この森に起ころうとしている事など知らずに…。

作:佐々木心音


FM-FUJI『心音の森の妖精物語』 by 富士見高原リゾート

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